NIRVANA/小川麻由美
 
PAIN PAIN PAIN
これほどまでに深淵から
立ち昇ってくる
悲鳴にも似た叫びを
私は聞いたことがなかった
改めて彼が存在しない
空虚を味わうことになった

ギターを抱えたまま背中から
客席に身を任す痛々しいまでの跳躍

もう語り尽くされた感のある彼の人生
いや人生において
語り尽くされることなどありえない
有名無名問わず

もはやドットの集合でしか
認識できない彼の面影ではあるが
人々は網膜から脳でドットを処理し
今日もまた過去となった彼の生と
共に生きる
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