デイジー/亜樹
そんなものに気づいたときに
目をそらしたり
適当に笑ったり
見ていないふりをしたり、
そんな風にしかできない。
洗面所の鏡に映った自分の顔を見て
吐きたくなったり、
風呂場でそのまま
溶けて流されたくなったり、
飲み込んだ言葉が胃の中に溜まって
身動きが取れなくなる僕に、
デイジー、ねえ、デイジー、
お願いだから。
僕に教えてくれないか。
そんなのは僕だけじゃないと、
そう言ってはくれないか。
デイジー、ねえ、デイジー。
ホントの嘘つきは君だって
僕はもう、知っているのだけれど。
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