空っぽの水瓶がひび割れる音がする 誇りを失ったその時は殺して 無様に誰かの足元に跪くことのないように 空想の純潔を 手折る薔薇を 遠視する愛を 合わせ鏡に映して 時々考える 至高の衝動のこと 私のこころはそこに凝縮されていて それはまるで端正な花容のようで 脱ぎ捨てた服が 抜け殻のように 散らばっている部屋と 整然と並んだ玄関の靴 ひとつの救いは 「さようなら」も「こんにちは」も 繰り返されるやさしい言葉ということ 毎日早朝と夕暮れに鳴る あの鐘の音のように 大体が狂いなく 私が棘を抜く時間に