遠い眼差し/高梁サトル
{引用=
いなくなったきみを探していたら
僕は自分を見失ってしまった
砂浜を歩くたどたどしい足元が
早く何処かへ連れて行ってくれないかと
波にさらわれることを望んでいるこころは
宙に浮いたまま地に着くことはなく
・
他人は皆
悲しみなど早く忘れてしまいなさいと言う
そんなこと何千回何万回も
神経が擦り切れるほど考えてきたことなのに
どうすればいいのかと
薄皮を剥くように忘れてゆく
忘却がヒトの最も優れた能力だというなら
また過ちを繰り返す道理は正しいのだと思う
震える頬や唇や睫毛に
きみが宿っている気がする
幻想は愚かさの象徴だね
頭では分
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