小屋の中から/
三上あず
美しいものは美しくあるべきだと嘆いた
壊されていく綺麗なものが悲しくて難しい言葉並べた
守りたかったのは私の心
逃げ出さないようにくくり付けていた
その紐はもう朽ちてしまった
それでも逃げ出すことをしないのは
二つの瞳から海の水が流れるのを怖がるから
昔いた所に満ち満ちていたものが
海水によく似たものだったから
だから今私は海の水を流すのだろうか
どこにもいない
どこにもいないよ
だからもう探すのをやめて
やめて
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