ねこの進化論/salco
玉座を獲得したように、又オオカミやヤマ
ネコがその昔、生活手段の安定供給を求めて屈従を交換条件に百獣の王の
庇護下へ甘んじて入ったように、猛々しい本能の逐次的軟化の外側で種の
小型化が始まるとすれば、それは牙でも爪でもなく、まず尻尾の先端にそ
の兆しが現れるのでないかと私は思っている。
食い物を牛耳っている人間の縄張りに蝿は存在を許されないから、毛ばた
きはもう不要だ。厩舎には尻尾のロン毛を三つ編みにされた馬さえいるが
、ヴァイオリンの弓には原材料であり、牛舎では垂れ流しなので蝿がどう
してもまとわりつくが、どうせ牛は生かされる運命にない。何にせよ、ラ
イオンだってゴリラだって、絶滅よりはイヌにでもなった方がマシなのだ
。無論、その頃にはとうに人類が絶滅しているので、主観的地球史など存
在しはしないのだが。
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