『喧噪』/
あおい満月
灼熱の片隅で
擦れ合う声とこえ
喧噪が
水のように
ふたりを追いかけてくる
ことばが
喧噪に濡れながら
絡みつく薄い皮膜
喧噪が証明する
わたしたちは一人という事実
けれど
喧噪によって生かされているという事実
閉じた目を開いたとき
砂漠の砂の一粒にしか過ぎない
ありきたりな安堵
喧噪の川に身を委ねて
灼熱の片隅の陰で
推測する
黙殺される明日、
二〇一〇年五月五日(水)
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