「うたた寝とうたた寝のあいだに」/服部聖一
産みの苦しみもあるかもしれないが
すべてを捨てたように
生まれの苦しみもあるかもしれないのだ
まっさら ということは
「お腹が空いたぞ」と大声でさわいでいい ということだ
「ねむたいぞ」と自由に不機嫌になってもいい ということだ
飛び込んでくる感情の新鮮さと真剣さ
まっさら ということは
失うものがない ということだ
空をとべる ということだ
時計を見ない ということだ
お金なんか気にしない ということだ
まっさら ということは
出会いを恐れない ということだ
はじめましてではなくて
初めっから つながっていますョ
ということなのかもしれない
うたた寝とうたた寝と 大声のあいだに
これほど強いつながりを私は知らない
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