手紙/高梁サトル
 
{引用=「果てのない孤独を感じるのは、まだ私が弱いからでしょうか。
私が未だ、言いようのない既視に打ち拉がれては瞼に幕を引こうとし、
触感を拒むのは、もう世に何がしかの光明をも信じていないからでしょうか。
かつてあれ程に焦がれたあなたの存在も、
今はただあやふやな信仰として胸の内にあるだけです。
実在味を帯びないあなたの双眸や言葉たちは、
記憶の中にこそ彩られて、
時に励みをくだし、
時に壮麗な過去への御物として私を飾ります。

習慣で追い求めるのはやめにします。
騙し騙しの執着もあなたを無意味な象徴に押し上げている、それだけです。
それで一時は(私は)救われましょうが、後
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