午後/榊 慧
 

「くじくん世界史選んでたんじゃないっけ」
「選んでたよ」
読む?と聞かれ、くじくんが読み終わってからでお願いしますとお願いする。はははははとくじくんは笑う。
「俺、古文はニュアンス読みというか、でたらめじゃん。だからトーの訳聞いてから読もうと思ってる」
「…オーケイ。」
どうぞとくじくんが蘭学事始をわたす。くじくんにむかし、鴨長明の発心集をひととおり読んでから「永秀法師がさあ、」と前置きなく質問されたことを思い出す。
「くじくんてやっぱり変人だわ。変態じゃないけど」
「お前に言われたくねえ!」
そういってまた笑う。ぎゃはははは。
「そういえば、」
「うん、」
「俺が来たときなんで怒ってたの?」
「うん?」


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