楽園/大木円盤
 
冷やし飴
蕨もち
小さな漁船と
おじいちゃん

ゴツゴツした
大ぶりの自転車に
おじいちゃんは
僕をちょこんと乗せて

潮のかおり
おじいちゃんの
仁丹のかおり

引き潮の河口
大きな魚が
大きな体を
うねらせている

おじいちゃんが
船のエンジンを
かける

ポンポンポン

軽快の音と
オイルの匂い

どこまでも
蒼い瀬戸内の海を
おじいちゃんと僕の
二人きり


「どこいけてぃ?」


僕の心
遠くに浮かぶ
小さな小さな
無人島


おじいちゃんは
ニコリとしながら
ママカリ釣りの
糸をたらし
遠くに見える
その小さな小さな
島を見つめる


2人だけの
秘密の楽園
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