春のウツ/within
逃げ惑う足首に
絡みつく春の鬱
転ばないように地面を
踏みしめているのに
白い鬱が生えてくる
小さな芽が双葉を広げようと
隣で眠る鬱に声を掛けた
まだ孤独であるうちに
秘密の儀式を行う
見つかってしまえば
繕ってきた仮面も
崩れて
溶けて
流れ落ちてしまう
だんしんぐ
だんしんぐ
20℃の境界に照らされて
いつの間にか
空が透けている
風の音も厳しさを失い
遠ざかる切先が懐かしい
少しの欲望に駆られる
鍋で煮えたぎる湯が
注がれる
誰も起きてこない朝に
こっそりと
ふたを開ける
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