手紙 / ****'98/小野 一縷
ぼくが
何をしてきたとしても
何を望んできたとしても
今の
ぼくの心を 信じて下さい
ぼくの心を 許して下さい
もし
あなたに信じて貰えないのなら
あなたに許して貰えないのなら
ぼくだけが信じます
ぼくだけが許します
それが駄目なら
もう ぼくに生きる意味はありません
辺りからではなく ぼくから聞こえる言葉を
聞いてください
世の中からではなく あなたの中から
ぼくを見つめて下さい
それが出来ないなら
もう ぼくに残された猶予はありません
父さん 母さん
ぼくは死にたいです
それと
全く同じ割合と強さで
ぼくは生きていたいです
この完璧な均衡が どちらかに崩れた時
初めて そして一度だけ あなた方に伝えます
「ありがとう」と
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