C館の窓辺より/中原 那由多
 
大阪に引っ越してきてから
足元を注意深く見るようにはなったが
以前のように、空を見上げることは少なくなったかもしれない

目まぐるしく流れていく時間に憧れて
気付けば270円の足に依存している
揺れる緑はいつでもどこでも
通行人を慰めていて

完全に染まりきれない私はそこにいた


つまらない正午に目を覚まして
終わらない夜に身を預けた
濁りのない叫び声を聞き続けて
減らないドリンクで頭を冷やしていた
薄明るい午前五時の高架下にサヨナラしたら
ファミリーマートのチーズバーガーの味に安心していた


仮眠する内環状線と隣り合わせ

本棚の整理が出来ていない
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