銀河鉄道/月乃助
 

林檎のかおりがする 天の河
もう随分と走ってきた
星へのひとり旅

白十字も恐竜の化石の海岸も通り越し
鳥を獲る人は、とうに降りてしまったし
銀のすすきの野をみるために
列車の窓を開け放ったり、

都合の良い
好きなときにこの列車に乗り込んで 
ひとり旅人になれば 乗客のふりをしてみる

小さな体を寄り添う
姉弟の笑顔に、友達になって話をしたり
二人を世話する青年の 客船の話に耳をかたむければ
凍える氷の海に涙をながす

知らぬ間に通り過ぎる星々のはしに 
焼けたさそりの命をささげる悔悟があろうと、
そのとげを想い、天の河に輝く赤い星を見つめる


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