終息の渦/Oz
前にそびえ立つ
犬の存在をすぐそこに感じる
僕の心臓は鼓動している
生など辛いだけだ
それでも彼女に会えた
早くそっちに行きたいよ
でも、僕には実体が無い
病院では
規則正しく起き
規則正しくご飯を食べ
規則正しい生活を過ごし
規則正しく寝る
そこにはわずかな充足と
不安がある
退院すれば
学校に行かなくてはいけない
仕事に行かなくてはいけない
嫌なことも
かったるいことも
楽しいことも
嬉しいことも
悲しいことも
おそらく僕は実体を得ることは出来ないだろう
わずかな充足
それだけが連なるんだ
それでもいずれ死ぬ
その時は精一杯悔しんでやる
死ぬ事を精一杯
犬は死ね直前
尻尾を振った
僕らは
その時
彼女の名前を呼んでいた
彼女はそれが嬉しかったのだ
ただ
そんなことが
富士は変わらない
多分僕が死んでも
只徐々には変わっている
そして失われる時が来る
富士でさえも
だから
今は思うんだ
今ココに居れてよかったって
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