終息の渦/Oz
皆が心配そうに眺めている
母親なんかは泣いている
開口一番僕は言う
「このまま死ねればよかったのに」
病院の窓からは
富士が見える
何も変わらずソコにある
何も変わらず
ただそれはおおまかな話だ
土壌は変化し続けているし
観光客のせいで
ゴミが蓄積しているそう
比べれば徐々に見かけも変わってきているのだろう
僕に実体が無かったのは
まだ死んでいなかったからじゃない
僕が僕を
この現実で
感じることができていないからだ
世界には
生と死が氾濫し
境目がわからなくなっている
唯一の境界は
ソコに在るか無いか
それだけだ
富士は目の前に
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