薄く、淡く、確かに。/灯兎
 
 「ねえ、嘘をつくってどういう心境なのかしら」
その問いは真夜中の公園にとてもふさわしいものであるように響いた。それはここが春の盛りをすぎて眠りこんでいるような公園だからでもあり、僕と彼女のあいだにある距離が難しいものになってきているからでもある。
 「君は嘘をついたことがないの?そのときの心境と同じようなものだと思うけれど」
 「そんなのあるにきまってるじゃない。けれど、私は一度ついた嘘は死ぬまで抱え込んでいくつもりなの。あるいは本当にどうでもいい、こどもの悪戯みたいな嘘ね。」
 「つまり君は世の中にあふれている嘘の多くが、いったいどんな心境から生まれたものか理解できないということなのか
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