子供/捨て彦
 
「はぁ」
「ほんで、それでもちょっとずつ、ちょっとずつ歩いてたんやろなぁ。ほなら、近くにおったオッサンがな、一つ持って助けてくれてな、ワシのところ来たんや」
「あらそう、そりゃ良かったねぇ」
「オッサン優しかったなぁ、ユウコ」
「うん」
「ほんでちゃんと有難うゆうたな」
「うん」
「えらいね」
「うふ」
「大阪のオッサンはな、ユウコ。強いし優しいんやぞ。駅の構内でジャリ銭ぶちまけても、いっこも助けてくれへん東京人とはえらい違いじゃ」
「ジャリ銭ぶちまけたんかいな。アホやなホンマ」
「ウルサイッ!あのときのワシの惨めでかつ悲しくも切ないキモチといったら・・・」
「アホちゃうか
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