ガールフレンド/済谷川蛍
「なにそれ、デート?」
彼女は身体を前のめりにし両手で口許をおさえてフフフっと笑った。そのやわらかい仕草がいかにも女の子らしくてグッときた。思わずニヤけてしまい、彼女に見られないように顔をでたらめな方向にそむけた。知らないが、多分彼女はそれに気付いただろう。
四
千手院橋から高野山駅までバスに乗り、ケーブルカーで極楽橋に下りる。そこから特急こうやで難波まで行く。所要時間1時間半といったところ。彼女と隣の席に座って、思えばこんなに距離が近づいたのは初めてだと気付いた。彼女が窓側の席だ。頬杖をついて外の景色を眺めている。俺はガラガラの喫煙車両でタバコを吸い、元の席に着い
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)