ガールフレンド/済谷川蛍
しのほうも、ほんの少しだけだけど」
俺は目に映る自分の靴のことしか考えられず黙っていた。確かな別れのときが近づいているのを感じた。頭の中が真っ白になっていき、吐き気がこみあげてきた。とうとう涙がこぼれた。彼女が俺のほうを見た。初めてみる哀しそうな、でも優しい顔だった。
「やっぱり、恋人のふりなんて無理だったね」
特急こうやは、終点難波に向かって走る。
「そうだね。これで最後のデートにしよう」
「うん」
特急こうやは、深い悲しみを宙に浮かせたまま難波に向かって走った。
五
浮かない気分だった。彼女は俺を慰めるように明るい調子で「デートでしょ。手
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