poetarot(愚者のカード)保存版/みつべえ
 
あなたは拾う。石を。躓いて、はじめて出血した記念に。いつか青い星の降る夜。額にのせて眠ると、夢のなかで恋が成就する。



空が割れて、水が落ちてくる。あなたはいつも、とつぜん訪れる。ウィザードのように笑って、吉凶を運んでくる。選択するのは、もちろん、わたし。



今日ひとつ、よいことをする。相対的に。 ある日、わたしは狙撃される。あなたの、頭脳のバルコニーが見える、夏のバス停で。



冬の瞑想からさめて、白木蓮の花が咲く。駅へと向かう道なりに。わたしは、通過するばかりで、ほんとうの現在を知らない。



光陰。あなたはいまも、さしのばす。母音の距離へ。
[次のページ]
戻る   Point(8)