poetarot(愚者のカード)保存版/みつべえ
 

今年の。あなたの入学式の日まで、桜は咲いているでしょうか。ああ。またしても、わたしは、季節のうつろいに、とらわれる。まだ、生身である、あかし。暦の上で、死滅する人々と同じに。



迷宮のショーウインドウから、わたしが召喚するものは、どこまでも、わたし。模倣をかさねて、だんだん小さくなる、世界の日曜日の、雑踏に。行方不明の、自分をさがす。



ループしてくる。冷たい雨をぬけて、青白いまなざしの遠景に。鶺鴒の囀りの突端に。いくつもの惑星を巡 礼して。未決の表情のまま、名もなく華もなく、ブルースの速力で。ループしてゆく。



あなたは、花のしたで、賢者の石を みつ
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