うわの空に舞う花弁を掴もうとして距離を見誤る春愁の日
性別なんて窮屈すぎて息が詰まりそうだった
黄昏色の溜息を煙草の煙と一緒に吐き出して
トイレにしゃがんでお月さまから目を反らす
くたびれた雑巾みたいにぼろぼろになるまで
いくら温めても痛くて仕方のない体を擦って
嗚咽に焼け付いて締め付けられる熱い喉元が
言葉を搾り出そうとすれば産まれる獣の嬌声
見えずに踏み散らかされる小さな蟻の行列を
誰も気付かない振りをする狂った季節に独り
同情して同化して何処にも行かれない僕達は
流れる雲を追いかけて帰って来た者はいない慮生が夢の中