アース・ワーク/天野茂典
 
  

  河馬が大口あけて
  地球をまるごと
  呑みこもうとしている


  ジャングルでは
  森が伐採され

  酸素はたしかに減少している

  ぼくが気管支炎なのも
  きっとそのせいなのだろう
  けっしてタバコのせいなんかじゃない 


  誰でもそのことに気づいている
  少し呼吸が息苦しいことも


  なおも雨はふりつづけ
  汚れたネオンが窓を鈍らせ
  わが洪水は魂におよび*


  ひとつのちいさな天体が
  滅びてゆくのを
  宇宙人はみまもっているのだ

  熱帯雨林でもないのに!


  河馬は地球が好きなのだ……。
  河馬はおもいだし笑いが得意なのだよ
   

      *大江健三郎の小説

                
                       2004・10・5
 
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