風車のための散文詩 /****'04/小野 一縷
 



寂れた風車が ぐらり と回り ぎい と短く 鳴る音を
運んでくる風が 含有する骨粉を 嗅ぎ分ける 臭覚神経の
末端の 鋭さから 染み込んでくる 苦味の
粘付く 痺れに似た この感触を 忘れ去る前に 書き記し 伝えておこう



鈍く輝く刀の鋭さで飛空する二羽の海燕の
絡まる飛行経路が描いてゆく無限の標を頼りに
蒼い獣の氷の鬣に想像される
ちりちりと繊細に粉砕された広範囲の痛みは
既に完熟しながら放っておかれた虚ろな甘さと
じんじんと鳴る痙攣の振幅度数と振幅時間帯と
吐気を酩酊に随時変質している胃壁に染み込んで各臓器に光速信号を
疾駆させる熱量との異相交差
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