分業/nick
 
ラジオとうごめき
前の部屋の匂い
寝る前は寂しがり
窓を開けたくても開けられずにいる

お酒が好きだった
タバコは吸わなかった
気前がよかったが
すぐ顔に出るので
こちらも言葉に気をつけていた

結露した窓をすべる
カビてしまわないよう全て吸い取る
このように、純粋な水であれたらと思うが
やはりそれでは嫌だとまた思う

殴りたかった
抱きしめたかった
感動的な台詞はどこにも飛べなかった
心を開閉して伝えようとした
だけどそれは

窓の外は雨だ
夜だ
雨だ

そして朝は言葉もなく
となりで歯を磨いてほしかった

会えないのに
そこらじゅうにあなたはいるね
戻る   Point(1)