桜咲くしあわせ/逢坂桜
 
生まれてからいままで
幾度桜を見上げただろう
 青空の下 雨の降る中 夜の空
 あるがまま咲く花は いつも私を一人にした
  今年の桜はしずしず歩み ぱーっと咲いて 誇らしげ
 
  今年の桜はいつもと違う? 去った雪さえ呼び戻された
「わたしはすきだからうれしいけど、あなたはいいの?
 毎日お花見して、あきない?」
「一人だったら来てない。
 結婚して二人で来るから、あきもせず毎日、見に来れるんだ」
「そういうもの?」
「そういうもの」
   咲き始めた頃から 
   毎日のように桜を見ていた
    満開の桜を見上げ 心いっぱい桜に染まる
    満開の桜を見つつ ビール片手に夫は笑う
今年の桜 忘れない
この春の日のしあわせを 忘れない
[グループ]
戻る 編 削 Point(3)