FREE HUGS・?/高梁サトル
 
の虹彩をしている。
同じ瞳でも色だけでこんなに違って見えるのか…。
一瞬感じたためらいは、すぐさま彼女の屈託のない微笑みによって掻き消された。
通りがかった公園で子供たちの遊びを見ていると、いまいちルールは分からなかったが、陣取りのようなものをしているらしいことがわかる。
空をゆく鳥のさえずりもあの子たちと私の言語では表現が違う。
フランス語では確か…。
「Cui-Cui」
私は空を見上げて何度も呟いた。

日没後、歩き疲れて一軒のレストランに入り、ベルギービールとローストビーフを注文した。
どちらも少し味が濃かったが美味しかった。
ほろ酔いで人もまばらな通りに出て帰路につくと、石畳を踏む乾いた靴音とひんやりとした空気が、火照った頬を冷やしてくれる。
部屋に帰るまでに酔いが醒めてしまうのを感じて、少し寂しい気分になった。

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