詩をたたきのめす/岡部淳太郎
元されるようなものではなく、詩に向かう時の、詩を考える時の態度のようなものだ。確かに庶民的な目線を保って書くというのもある種の価値観ではあろうが、誰もがそうなってしまえば、あるいは変にお行儀が良くなって、現状の心地良さの中に安住してしまえば、詩は死んでしまうかもしれない。現に、詩はマニアのある種の玩弄物として機能し始めてしまっている。それでは駄目なのだ。詩のエントロピーの増大を防ぐためには、ひとりひとりが意識的にならなければならない。そのためにまず、これを書いている僕自身が自らをたたきのめしてやる必要がある。自らの詩を追いこんで、詩に向かう態度を問い直して、おまえは駄目だと、自らに言ってやる必要があるのだ。
僕は詩をたたきのめしたい。詩を愛するがゆえに、徹底的にたたきのめしてやりたい。そうすることで僕は僕の詩を再発見し、詩そのものと再び緊張感に満ちた関係性を築きたいのだ。
*二〇〇九年十二月に『mixi』に書いた日記を元に再構成。
(二〇一〇年三月)
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