嗚呼、原田芳雄(敬称略)/salco
 
から暴力性に官能が通じている。そしてセクシーであってもいやらしくない。いやらしくないのは媚びがないからである。肉体と彷徨と含羞。つまり血と知と理、硬派なのである。
このトリニティーは一個人になかなか揃うものではない。ハーディー・クルーガーはいい線行っていたが去勢羊的だった。かと言ってマーロン・ブランドは全身男根でもはや人間とも思えない。中を取ってデンゼル・ワシントンがバランスに優れるが、いかにも良識の塊で破綻の余地がない。いい脚をしているという意味でも、ハンサム過ぎるがスコットランド人のショーン・コネリー辺りが近いかも知れない。反骨の、しかし彼でさえ若禿げなのだ。だから稀有なのである。


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