FREE HUGS・?/高梁サトル
 
いる学生たちは、皆口々にやれ自分は医者を目指しているだの、やれ自分は司法試験に向けて勉強中だなどと言うのだが、肝心の道を尋ねる場面になると口ごもり上手くコミュニケーションできない。
その中で合気道をやっているという寡黙な印象の男だけが、要領のよい流暢な英語を喋って頼りになった。

ようやく宿泊所へ着いたが、チェックインできるまでまだ時間があるとのことで、私たちはフロントに荷物を預けて昼食に出ることにした。
途中道を尋ねた人の中でコロンビアから留学してきているという学生が、近くの安くて美味しいレストランへ行く地図を親切に書いてくれたのだが、うっかり学生の1人がその紙をなくしてしまい、探す当て
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