殉職した野球人に捧ぐ /服部 剛
める。
彼が守っていたセカンドで円陣を組む。
「 たくやーーー・・・
皆、いくぞ・・・! 」
「 おぉ・・・! 」
涙を頬に流して仰いだ天に向かって
彼の名を呼ぶ原監督を中心に、
ナインは心を一つに、叫んだ。
その夜の試合で
ナインは喪章を袖につけ
ある者は、生前の彼のように、全力で走り
ある者は、白球に向かって飛び込み
ある者は、球場に虹を架けるホームランを放ち
たった一つの勝利を、彼に捧げた
グランドに残された誰もが
突然逝ってしまった彼の魂と一緒に
闘っていた。
妻にジャイアンツのユニフォームを着せられた
彼は今も棺に横たわり、眠っている
原監督が命日のウィニングボールを
持って来るのを、待ちながら
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