フレンチスリーブ/ゆうと
 
僕ら必要なくなっちゃうかもしれない。
それでも春にうまれてくるのは、ただつまんないものだけじゃないんだ。
タンポポのわたげみたいに、遠いところから、
おもしろいものとか、ふしぎなものを、はこんできたりする。
だから風が強いんじゃないかな。
そうじゃなかったら強い風なんて、まるで意味がないもの。
僕にとって春は、
まぶたを閉じていても、ぱちぱち音がしているように、
不安と希望が飛び交っていて、
あたらしい憂鬱が、きらきらとはじけてる。
なんていうかそういう感じ。
絶望的なのにみんな笑っていて、残酷なのにうつくしい。
なんていうか、そういう感じで、桜は咲いて、散っていくのが、僕にはわかる。
桜はやっぱりピンクなんだって、曇った日のほうがよくわかるように、
そういうところが、他とはちがう、春なんだなって思うんだ。




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