笹野裕子「今年の夏」をめぐって/葉leaf
う。
人間の道具の中で、本は比較的生命を感じさせやすい。なぜなら本は文字を通じて我々に語りかけてくるからだ。本のなかでも詩集は特に生命を感じさせやすい。なぜなら詩集は詩人の肉声を伝えることが多く、詩人の生命がより直接的に投射されているからであり、また詩集は我々を情緒的に楽しませることが多く、その楽しみの活力が詩集に投射され、詩集自体が活力を備えているように思われるからでもある。詩集の中でも笹野の詩集は特に生命を感じさせてくれた。それは笹野の詩が肉声に近く、感性の発露によって読者を楽しませ、快活なものであるからだ。
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