笹野裕子「今年の夏」をめぐって/葉leaf
形とする。
(1)「aが鳴く」(ただしAとaは無関係。)
例えば「鶏が鳴く」に「雀が鳴く」が後続する場合。ここで入れ替わるのは主体のみであり、客体が登場しない以上、主体と客体の入れ替わりは生じない。
(2α)「aが鳴く」(ただしaはAの鳴き声を聞いているが、Aはaの鳴き声を聞いていない。)
例えば「鳥が鳴く」に「私が鳴く」(私は鳥の鳴き声を聞いている)が後続する場合。「鳥が鳴く」において、実質的に言えば、「私は鳥に鳴かれている」のであり、「鳥は私に対して鳴いている」。「鳴く」は実質的に他動詞化しているのであり、「鳥が鳴く」→「私が鳴く」においては「鳴かれている者」→「鳴く者」と
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