詩であり論であるということ/葉leaf
 
の都市」の鳥を念頭においているようで、個別的な事実を記述しているに過ぎず、論とは呼べない。

q4.その滅びの肉化を屹立しているものがあるとすれば、それこそが死者の情念の蟻塚。(73ページ)

ここでは「蟻塚」を「屹立しているもの」と判断・評価しているので、この部分は論と呼べる。
 このように、本詩集では、(1)「この都市」についての個別的事実が述べられたあとに、その事実の理由を語ったり、その事実を評価したりする一方、(2)一般名詞の利用により、「この都市」のみについて妥当する個別的事実を述べるだけでなく、普遍的に妥当する命題も述べている。要するに、事実と評価、すなわち事実と論が混在し、
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