島野律子小感/葉leaf
自明な日常の発語を改めて対象化している。
生活を描くので、自身の身体、そして感覚、さらに肉声が詩の中に入り込みやすい。q1だったら、「足首」や「匂い」が身体的・感覚的であり、q2では肉声がそのまま詩行になっている。この身体性・感覚性が、「蛇行」という移動のもつ生命性とあいまって、詩行の蛇行を少なからず官能的にしている。
3.透明な物質
q3 雨どいに身を寄せる濃い色の花びらをはがす道具を、手に入れなければ。(「拭く」より)
ここでは、「雨どい」「花びら」「道具」という物質が登場しているが、それらが複雑に、蛇行的に関連付けられることで、互いの物質性を薄めている。「濃い色の
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