レビュー 適切な世界の適切ならざる私 / 文月悠光さん/露崎
 
るようなモチーフやテーマが多く収録されていて
本としてのまとまりはとてもよかった。ただ、10代女子を取り扱っているわ
りに、文体はひじょうにこなれているし、言葉選びもとがらず、流暢なんです
よね。乱暴な部分も、整頓された荒っぽさの範囲におさまっているようにみえ
る。著者が現代詩フォーラムの会員だったときからおもっていたことですが取
り扱うテーマやモチーフ、と、手法、のミスマッチさが、文月さんの変な魅力
の鍵になっているのではないかとおもう。

作品単位だとかならずどこかに印象的な描写やフレーズがあって、クリティカ
ルなつかみがある。「横断歩道」では おりてこいよ、ことば。 の力強
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