春の雨/within
 
ひとつの幽霊となって
ある日の透明をかえりみる
止まない雨に
裂けない雲に
青空の贖罪を聞く

糸を編む蚕の
たゆまない運動の
底の磨り減った靴の
歩いてきた時間を告げる

再会の約束は
甲殻類の水色の器
ぷかぷかと
浮かんでいるだけの
海藻の端くれに
手に入れた通行手形を切らせる

巡り続ける海流が
辿り着く最果てに
藻屑となるために産まれたのか
途切れる呼吸は
出逢いと別れを
繰り返す

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