ゴンザレスの丘/月乃助
 
あの遠くに見えるのが、
ダウンタウンのビルの群れ
ガラスの建物達が、光りを吸っている
白い家並みが黙っている木々の中
赤煉瓦の屋根は、みなが城と呼ぶ屋敷 
尖塔を空に向け 
放ち、教会のように険しく立っている
街と海峡のありふれた風景が人を黙らせるなら
まして春の輝きを失うことなど ないのだから
(まどろみが波を白くまたたかせては、)
波打ち際の砂浜はゆるやかな孤を描きながら、流木をやすませ
それを縁取る道に
行く自転車の影は、人を追い抜いて知らぬ顔
潮風に子どもの遊ぶ声が、届けられ
散歩をする犬のわずかばかりの喧騒をかき消す
航跡をみせるヨットの黒い影が、青い帆に風
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