25/しべ
 
文字もなく
舌根支える力もない

8両編成があんな赤い帯だったか
そんな些細な疑問が突っつく

みんな枯れ
上空三百メートル

黄砂のまんなか
あるのは火の警告灯だけ

衝突する風でホームを支える鉄骨が揺さぶられ
梅の花が散り
乳をこぼしたように
斑点が咲く

昨晩
雨に叩きつけられた藍色のジャケットが
白く染まり

人々の 息と両足が
瞳孔が
発車を告げ
髪をくしゃくしゃにした風と海に落ちた




ひとつだけ残し
結局のところは絵空事


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