不完全な僕たちは/亜樹
不完全な僕たちは
その間抜けなF音に縋って
つま先の置き場に困っている。
(飛びたいのか逃げたいのか)
(消え去りたいのか喚きたいのか)
(縛られたいのか駆けずりたいのか)
そんなこともわからないままで
音にならないF音は
ため息のように吐き出される。
ここはむやみに広いので
僕たちはみんな
隅を探すように彷徨うより仕方がない。
(凍えてるのか立ち向かっているのか)
(踊ってるのか笑われているのか)
(蹲ったまま動けないのは私)
そんなこともみえないままで
不完全な僕たちは
その頼りないF音に縋って
かかとの置き場に迷っている。
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