アクアマリンの憂鬱/中原 那由多
 
耳の中、ゆっくりと流れ込んでくる群青色の金属音は
きりり、きりり、と子守唄気取り
前に進めば、曖昧なクラシックが見えてきて
立ち止まれば、冷えきったエレクトロニクス

遠い国か?     いや違う

自宅のベッドか?  いや違う

途方に暮れても焦りは無く
むしろ居心地は良いくらいだ


無口になっているのは浮力のせいではなく
言葉が意味を持つことが出来ないから
眠ってしまえば消え失せるだろうこの唄は
ただ果てしなく回るばかり
泳ぎは決して得意ではないのに
魚になれるのではと勘違いをして
ついに陸へと打ち上げられた


鼻を啜れば孤立した

浜辺に落
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