ワカメ/
ふくだわらまんじゅうろう
握りの勇気と
山のような後悔と
芥子粒ほどの良心と
排泄されつづける悪知恵と
誰も知らない
ほんとうの味と
味の向こうに
待っている意味と
「哀しいよ
俺が生きている意味なんてほとんど
ないようなもんだ」
それがワカメの
ほんとうの
何だと言うのだろう
おいしいワカメが食べたい
ほんとうにおいしいワカメを食べることができたなら
今すぐにでも死んでいい
だけどそれは
かなわないこと
ほんとうにおいしいワカメを食べて
今すぐ死にたい
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