記念碑/悠詩
 
あなたの世界を傷つけてしまいました
あなたのほんの少しの優しさにしがみつこうと
手を伸ばし
あなたの世界を傷つけてしまいました
あなたの隣にある優先座席に
ひょっとしたらわたしを置けるのではないか
と思ったのがそもそもの間違いでした
そこに身を置くと
この手がこの頭をむんずと掴んで
ふくよかな座席から引きずり出し
あなたの何事もなかったような人待ち顔と
向き合うことになるのです

遠く向こうにそびえる山々に
ひょいと手を伸ばすと
その裏側を探れるのではないかという
おごりは
かすかにためらいを含んでいる
ひとは自然に生かされていると嘯き
ひとは自らが望んだから
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