サニー/
 
あまりにも偶然の
そういったひとつの雫のように

午後の空は案外小さいものだ

倒れている私には
自分が呼吸をしているのかさえ曖昧で
ただ
降る眩しさだけがほんとうだった
(やっぱりなぁ)
(やっぱり雲は千切れていくのだ)

認められる現象を
幸せと名づける力がもう少し前からあったなら
こんなふうな私の涙の量
泣けない誰かに分けてあげられたのにと思う

ふわりとした細く茶色いお前の髪
りんごのようなほっぺたは

もうすぐ何度目かの春を迎える


形を変えて
願いを変えて
祈りを変えて

みんな
あたらしい空に生まれていく
(高度はおよそ三〇
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