弾頭 / ****'01/小野 一縷
する
「最前線への配置を志願する」
みんな ぼくに 倣えばいい
何時だって止まない耳鳴り以上の
銃声と怒号と悲鳴
だけど
夜の静寂が一番 耳にしみる
昨夜 野戦病院で 一人
右脚を失った戦友が自殺した
残された夜の時間は いつになく硝煙臭く過ぎていった
夜空に解ける煙が 静けさを連れ戻して
目覚ましの爆音に走れ
土嚢を跳び越して 引き金を引け
降り注ぐ赤い星が
ぼくらの希望と栄光を台無しにしませんように
戦場を駆け抜ける爆風の中に舞散る叫び声と肉片に
戦の神の断罪に 祈るように
きみの残骸の脇で 手を合わせた
ぼくら 残された者の残命が どうか呪われますように
鳥群が舞い降りる
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