さわがし野/六一介
 
あるく

そぞろあるく
奥にあるものに かたる
いらえをあてにして かたる
かたりながら だまって 歩く

歩く

やあ、なんという沈黙
雲さえとうに まいちった

がりがりと 心臓なんか、記憶なんか
空ッ風でひきさいて

ほろほろ 歩き   

また  歩く



       

         (祖母のいない あぜみちにて)
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