大学生活1/番田
いた。日差しの中に薄いワンピースの生地が透け、奥にある肌の色がぼんやりと見え隠れしているような気がした。
コンクリートブロックの壁の間を何も知らない顔をして歩いてきた。
二人で知らない路地を散歩していたのはいつだっただろう。
僕らは部屋にいるときもあまり話しはしなかった。
テーブルには飼育しているという小さな緑の植物が乗せてあった。それは白地のバックにピンク色の花びらが散らしてあるものだった。昨日彼女が作った携帯電話の待ち受け画面を眺めながら僕はとても素敵だと言った。それは彼女の趣味といったもので、将来その手の仕事をしたいとかそんな思いがさせる行為では決してなかった。壁紙に映った黄色い色を見せると補正がはじまるので、すぐにはあまり開かないようにしていた。
そうして新しく作った壁紙をプリントしてくれたので、好きなものを選ぶといつものようにメールに添付して送ってくれた。サボテンの一種かもしれない。
「赤い花をつけるといいね。」
というと彼女はうなづいた。
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